灰景、 野に咲く華のように Androidスマートフォン向けアプリ New!! Windows版をBOOTHにて無料配布中 https://beyondthestar.booth.pm/items/1492941 ◆◆◆◆ 記憶をなくした血塗れの少女は、 導かれるようにして、雨の降る街にたどりつく。 そこで出逢った、ひとりの青年。 彼の館で暮らすうち、 少女は、自身の記憶を巡る悲劇を、知ることとなる。 これは、あまりに“ふつう”の物語── ある日、空から灰が降って、 世界は終末をむかえました。 人々は新病に侵され、自分が何者かわからなくなり、 恋人の名をわすれ、目指していた夢も見えなくなって、 過去と未来を失いました。 その病は、終末病、と俗に呼ばれました。 ややこしい正式名称は、 ほとんどの人が、わすれさってしまいました。 その病は、人間の記憶を破壊するものだったのです。 記憶とは、その人間を形作るもの。 その人を、その人たらしめるもの。 その人物の足跡であり、道標となるもの。 それが突然、失われることの恐怖。 人々は恐怖しました。 混乱が混乱を呼び、破壊が破壊を招きました。 世界の終末です。 記憶とともに、人々は味覚を失いました。 途端に世界は色あせ、 食卓から笑顔は消え、他人は他人となり、 灰色の時代が、やってきたのです。 そんな世界で、残響のように生きる人々。 これは、その断片。 あてもなく道標もなく、辺り一面積もった灰の上、 物語の余白を踏みしめる、かすかな足跡の軌跡。 では、はじまりはじまり。 あるいは、 おしまい、おしまい。 (本文より抜粋) Miki Kizuki 「そうでないと、自分が、どこにもいなくなる」 館の主人 どこか浮世離れした紳士的な人物 ある人との約束で禁煙中 Siori 「そうするのが、きっと、“ふつう”の人間です」 メイド 血塗られた過去を持つ とある指輪を大事にしている Rebekah 「おしまいね、この場所
思考の迷子を愉しむ。とあるラノベ作家の記憶。──あるいは、たゆたう夢。時のまにまに。/HJ文庫『クロス・リンク~残響少女(ノベルジャパン大賞特別賞受賞作)』『魔天世界の聖銃使い』