映画後半部分のアレンジなのでネタバレ注意。 そもそも映画を見ていないと意味不明です。 一部、映画前半の伏線を改変している箇所があります。 予告編のセリフとポスターのキャッチコピーと主題歌の歌詞を借りています。 ※ドラえもんを置き去りにしてしまった場面から。 追記。 めちゃくちゃ寒そうな南極にドラえもんとのび太が並んで立っていて、 「世界でいちばん、あったかい場所」 ってキャッチコピーの書いてあるポスターとか、あったらイイと思います(●´ω`●) あのとき。 ――のび太。お前が決めろ。 二人のドラえもん。 ぼくは、ぼくだけは、ドラえもんを見つけてあげなきゃ、いけなかったんだ。 どうして、迷ってしまったんだろう。 ポケットが無かったから? ふたりの思い出の鈴が無かったから? ちがう。 だってポケットも鈴も、ドラえもんの、ほんとうじゃない。 ぼくにとっての、ほんとうのドラえもんは、もっとべつのものだ。 ほんとう? ほんとうの友だちとニセモノの友だち。なにが、ちがうんだろう? それは、ぼくと過ごした時間だったはずなのに。 「カーラ、お前たちのせいだぞ!」 ジャイアンの大きな声が、凍りついた空間に反響した。 「お前たちさえ来なければ、こんなことにはならなかったんだ!」 顔を上げると、ジャイアンとスネ夫がカーラに詰め寄っていた。 「わたし――わたしは、ただ」 カーラが迷子のような表情で首をゆるゆると振る。 「わたしはただ、わたしたちの星を――」 「結果、僕たちの星がメチャクチャになってるじゃんか!」 スネ夫もさけぶ。 リングは、ひとつしかない。大事な星は、ふたつ、あるのに。 「やめなさいよ!」 見ていられなくなったのか、静香ちゃんが割って入った。 「こんなことになるなんて、だれにも、わからなかったじゃない!」 「くそっ……! わかってるよ!」 泣き顔を必死で隠そうとするジャイアンが、ぼくは好きだ。 「本気で言ったんじゃ、ねぇんだ」 気まずそうにそっぽを向き、ジャイアンが小さく言う。 カーラは、なにも答えない。 ぼくたちは、この場所から動けずにいた。 タイムベルトは、壊れたのか、動かなくなってしまった。 秘密道具
思考の迷子を愉しむ。とあるラノベ作家の記憶。──あるいは、たゆたう夢。時のまにまに。/HJ文庫『クロス・リンク~残響少女(ノベルジャパン大賞特別賞受賞作)』『魔天世界の聖銃使い』