汝の罪を、武器として与えよう。 原罪を贖い、現在に抗え。 罪人たちは閉ざされた異界で、 自らの罪を武器に、世界を守り戦いつづけることを強いられた──。 罪と異能のバトル・アクション。 流刑街エルダ。 異界ゲヘナからの侵攻を食い止める、最前線の防衛ライン。 そこで暮らす罪人たちは、 いつか現世エデンに帰ることを夢見て、 今日も白い闇サーペントと戦う。 罪の烙印、マルスを武器として。 それぞれの願い、デザイアのために。 ********** 企画設定書 『原罪前線 -マルス・フロンティア-』 星野彼方 「汝の罪を、武器(マルス)として与えよう。原罪を贖(あがな)い、現在に抗(あらが)え」 《午前六時。起床ノ時間デス。本日ハ晴天ナリ。速ヤカニ身支度ヲトトノエ、食堂ヘノ移動ヲ開始シテクダサイ。一時間以内ニ起床シナイ場合、処罰ノ対象トナリマス。午前六時。起床ノ時間デス──》 備えつけのスピーカーが発するひび割れたアナウンスで。 真希波(まきなみ)ケージは目を覚ます。 左腕には、今や見慣れた赤黒いアザと、数字の羅列。 かんたんに身支度して寮の自室を出たケージは食堂へ向かう。 『RIB端末(リブ)』──ロボットが、カウンターの向こうで無機質にならんでいる。 「ケージさん。となり、いいですか?」 「ケージだ、おはよう!」 双子の姉妹、伊原(いばら)ミキ&エダがやってきて、いっしょに朝食をとる。 「ケージは、あと何年?」 エダの質問に、ケージは腕の数字を見せる。 「まだまだだよ。二年と十ヵ月ちょい」 「ケージさんが来てから、まだ二ヵ月も経っていないのですね」 「ここにいると、時間の感覚がうすれるよねー」 「二人は? どのくらい、のこってるんだ?」 「私たち、これも共有してるんです。なので──」 「ほんとうなら二年半くらいだっけ? ミキお姉ちゃんはマジメだけど、エダが、ちょいちょい延長くらっちゃってて。結局、ケージと同じくらい、のこってるよ」 サイレンが鳴りひびく。 《白い闇(サーペント)ノ接近ヲ確認シマシタ。各自、指定サレタ区域デ防衛ニアタッテクダサイ》 指定された区域へ急ぐ。
思考の迷子を愉しむ。とあるラノベ作家の記憶。──あるいは、たゆたう夢。時のまにまに。/HJ文庫『クロス・リンク~残響少女(ノベルジャパン大賞特別賞受賞作)』『魔天世界の聖銃使い』